銀価格が上昇している原因
1. 金(ゴールド)の影で輝く銀
ニュースでは金価格の最高値更新ばかり注目されますが、実は今、銀(シルバー)の動きが非常に活発になっている。
銀の現在の価格上昇の背景には、単なる金につられて上がることだけではない、銀特有の深刻な理由がある。
それは、使う量が掘る量を上回っている(供給不足)という事実。
この記事では、需要と供給の面から銀価格上昇の謎を解き明かしたい。
2. 【需要面】産業界が銀を欲しがっている
銀が金と決定的に違うのは、需要の半分以上が産業用であるという点。
景気が悪くなると売られることもありますが、今は世界的なトレンドが銀を求めている。
① 太陽光発電の爆発的普及(グリーン需要)
脱炭素社会に向けて、世界中で太陽光パネルの設置が進んでいる。銀は電気伝導率(電気の通しやすさ)が金属の中でNo.1。高効率なパネルを作るためには、銀ペーストが必要不可欠。
② EV(電気自動車)とハイテク機器
ガソリン車からEVへのシフトも追い風となる。EVは従来の車よりも多くの電子制御を必要とし、そこには銀が使われる。また、AIサーバーや5G通信機器など、半導体周りでも銀の需要は伸び続けている。
世界がエコ・ハイテクになればなるほど、銀が必要になるという構造。また全個体電池になると大量の銀が必要。
現在、銀の在庫を抑えていない企業が多く、調達に必死になっている模様。
3. 【供給面】掘りたくても、すぐに増やせない事情
需要があるなら、もっと掘ればいいじゃないかと思うかもしれない。しかし、銀の供給には特有の難しさがある。
① 銀鉱山はほとんど存在しない?(副産物の宿命)
実は銀は銅、鉛、亜鉛などの鉱山からの副産物として採掘される。
- ここが重要:
- メインの銅や亜鉛の需要がないと、鉱山会社は生産を増やさない。
- つまり銀価格が上がったからといって、急に生産量を増やせないという特徴がある。
② 長引く供給不足
世界の銀市場は、数年連続で供給不足の状態が続いている。鉱山からの生産量は頭打ちになっているのに、産業需要は右肩上がり。リサイクル(都市鉱山)からの回収を合わせても、需要に追いついていないのが現状。
③バックワーデーション
バックワーデーション(逆ざや)の常態化。先物より現物の方が高い状態。今すぐ欲しいという需要が殺到している。
コンタンゴとは、先物取引において将来の受け渡し(期先)の価格が、現在の価格(期近)よりも高くなっている状態。「順ざや」とも呼ばれる。
保管コストや金利、将来の需要期待などが価格に織り込まれるため、コンタンゴが普通。バックワーデーションは異常事態。
④価格の非弾力性
通常価格が上がると需要が減りますが、価格が上がっても需要が減らない。
4. 投資マネーの流入:インフレヘッジとしての魅力
需給バランスの崩れに加え、投資家たちの動きも活発。
① 貧者の金からの脱却
銀は単価が安いため、個人投資家でも実物(コインやインゴット)を買いやすいのが魅力。インフレで現金の価値が下がる中、金は高すぎて手が出ないが、銀なら買えるという層が、実物資産として銀を買い集めている。
② 金銀比価(ゴールド・シルバー・レシオ)の修正
歴史的に見て金に対して銀が割安すぎると判断されると、修正のための買いが入る。
③中国の輸出規制の強化
5. まとめ:銀は必要不可欠なのに足りない
現在の銀価格上昇の背景をまとめると以下のようになる。
- 脱炭素・ハイテク化で産業需要が爆発している。
- 副産物として採掘されるため、供給を急には増やせない。
- その結果、慢性的な供給不足に陥っている。
銀は金に比べて市場規模が小さく、価格変動(ボラティリティ)が激しいリスクはある。しかしこの需給の歪みが解消されない限り、長期的には力強い動きが期待できる。
とはいえ、ボラティリティが激しいので、保有しすぎると寝不足になるかもしれない。
銀に関連するETFや鉱山株などもある。


コメント