株高の恩恵を享受する者と指をくわえて見ている者 その決定的な思考の差

インフレ

はじめに 上昇相場は投資家を二分する残酷な踏み絵である

株式市場が活況を呈し、連日のように最高値を更新するニュースが流れる。この時、投資家の反応は真っ二つに分かれる。

一方は含み益が増えていく口座を眺めて安堵し、もう一方は、まだ買えていない、あるいは早く売りすぎてしまったと焦燥感に駆られていたり、株高の中でショートをしてしまっている。

30代・40代の資産形成層において、この株高に乗れるか乗れないかの差は、将来の資産額に数千万円単位の格差をもたらす可能性がある。

この違いは、資金力の差でも知能の差でもない。相場に対するマインドセットと、行動習慣の違いに他ならない。

本記事では、上昇気流を掴む投資家と、地上に取り残される投資家の決定的な違いを解説する。

1. 乗れない人の心理 高値覚えと押し目待ちの罠

株高に乗れない投資家が陥っている典型的な心理的罠が2つある。アンカリング効果と機会損失への無理解だ。

過去の価格に縛られるアンカリング

彼らは常に、少し前の安かった価格を基準(アンカー)にして現在の価格を判断する。あの時は〇〇〇円だったのに、今は高すぎる、と感じて手が出せない。

しかし、株式市場において過去の価格は、現在の価値を保証するものではない。

企業が成長し、インフレが進行すれば、株価は理論上右肩上がりを続けるものである。

過去の幻影に縛られ、現在の適正価格を高いと誤認することが、エントリーを躊躇させる最大の要因となる。

来ない押し目を永遠に待つ

暴落したら買おう、調整局面に入ったら参入しようと現金を握りしめて待機する姿勢も危険だ。

強い上昇トレンドにおいては、待っていた押し目が来ないまま、価格が遥か彼方へ行ってしまうことが往々にしてある。

これを機会損失と呼ぶ。現金で持っていることのリスク(インフレによる減価や上昇益の放棄)を過小評価し、ノーリスクで安く買おうとする完璧主義が、結果として最大のリスクとなる。

世界は崩壊するとかリーマンショック級の暴落が来ると信じている

世界は崩壊するとかリーマンショック級の暴落が来ると信じている人も少なからずいる。

ただ実際のところ崩壊が来たとしても、お金をドンドン刷ることで流動性を供給して短期で回復するケースが多い。コロナショックで実証された。

株を持っていても乗れていない人もいる

株を十分に持っていても、株高に乗れない人もいる。その場合、よく分からない中小型株などを適当に買っているケースが多い。

またインフレ耐性が無い銘柄や、国内のみの銘柄も株高に乗れない可能性が高い。

海外投資家に買ってもらえるような銘柄でないと、株高の恩恵には乗れないだろう。

2. 乗れる人の心理 高所恐怖症の克服とルールの徹底

一方で、株高の波にしっかり乗れている投資家は、価格そのものに対して鈍感であるか、あるいは合理的な割り切りを持っている。

最高値は通過点であるという認識

彼らは、最高値更新を天井(限界)ではなく、成長の確認(通過点)と捉える。

市場平均(インデックス)への投資であれば、人類の経済活動が続く限り、最高値は更新され続けるのが正常な状態であると理解しているからだ。

したがって、高値圏での買い増しに対しても心理的な抵抗が少ない。順張りこそが王道であり、トレンドに逆らわない素直さが利益を生む。

感情を排除した自動積立

さらに賢明な投資家は、自分の意思決定能力を信用していない。彼らは感情が入り込む余地をなくすために、クレカ積立や銀行引き落としによる自動買付を設定している。

相場が暴騰しようが暴落しようが、機械的に定額を買い付け続けるドル・コスト平均法を実践することで、高値掴みの恐怖をシステム的に無効化しているのだ。

3. 30代・40代が取るべき現実的な戦略

十分な運用期間が残されている30代・40代にとって、目先の株価変動に一喜一憂することは時間の無駄である。

稲妻が輝く瞬間に居合わせる

市場の長期的リターンの大半は、ごく少数の爆発的な上昇日によってもたらされる。有名な投資の格言にある通り、稲妻が輝く瞬間に市場に居合わせなければならない。

株高に乗るための唯一の方法は、常にポジションを持ち続ける(フルインベストメントに近い状態を保つ)ことだ。

キャッシュポジションを調整してタイミングを計る行為は、プロでも失敗する難易度の高いギャンブルである。

余剰資金の定義を見直す

もし高値での買い増しが怖いと感じるなら、それはリスク許容度を超えているサインかもしれない。

生活防衛資金さえ確保できていれば、それ以外の資金は市場に晒しておくことが、インフレ時代における合理的な防衛策となる。

4. 上昇相場に乗ることのリスクと覚悟

当然ながら、株高に乗るということは、その後の下落も受け入れることを意味する。メリットばかりではない。

資産減少のスピードも速い

高い位置で資産を積み上げれば、調整局面での評価損の金額も大きくなる。

来月には資産が 20%減っている可能性も十分にある。含み益は幻であり、利確するまでは自分のお金ではないと割り切る精神力が必要だ。

高値掴みの恐怖との戦い

一括投資をした直後に暴落が起きる可能性は常にゼロではない。いわゆる高値掴みとなるリスクだ。

しかし、20年という長期スパンで見れば、現在の高値もチャート上の低い通過点に見える可能性が高い。

短期的な元本割れリスクを許容できなければ、長期的なリターンは得られない。

まとめ

株高に乗れる人と乗れない人の差。それは、現在を過去との比較で見るか、未来への通過点として見るかの視点の違いである。

30代・40代の投資家にとって、最大のリスクは一時的な株価下落ではなく、資産が増える機会を逃し続けることだ。それどころかデフレ時代の名残りでショートをして損することもある。

完璧なタイミングを計ろうとする完璧主義を捨てることが資産形成のコツではなかろうか。


※本記事は情報の提供を目的としており、投資の勧誘や売買の推奨を目的としたものではありません。投資判断はご自身でお願いいたします。

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