靴磨きシンドローム – 靴磨きの少年をバカにする人たち、今の相場は靴磨きの少年が~と言い続けて上昇相場が続く

メンタルヘルス

はじめに 靴磨きの少年を探し続ける人たち

注)当記事は少々煽り要素が入っています。

1929年の大暴落前夜、ジョセフ・ケネディは靴磨きの少年から株の講釈を聞かされ、天井を悟り全株を売却したという逸話がある。これは相場の過熱感を示すシグナルとして、あまりにも有名になりすぎた。

現代のSNSやメディアを見渡せば、株価やゴールド価格が上昇するたびにこの逸話を引用し、暴落を予言する声が溢れている。

タクシー運転手が仮想通貨の話をした、主婦がNISAを始めた、これらは全て暴落のサインだと彼らは主張する。

しかし、現実はどうだろうか。彼らが警告を発し続けている間にも、S&P500やゴールドは最高値を更新し続け、資産を持たざる者との格差は拡大の一途をたどっている。

本記事では、なぜ古い相場格言が機能しなくなっているのか、そして暴落待ちという安全策が、実は資産形成における最大のリスクになり得る理由について解説する。

1. 現代において靴磨きの少年理論が通用しない理由

かつての情報格差があった時代とは異なり、現代の投資環境は劇的に変化している。この変化を無視して過去の物差しだけで判断することは危険である。

情報の民主化と参加者の変化

かつて、投資情報は一部の富裕層や機関投資家の独占物であった。一般庶民が情報を得る頃には、相場は終わっているというのが定説だった。

しかし、スマホ一台で世界中の財務データやニュースにアクセスできる現在、情報の非対称性は限りなく解消されつつある。

一般層が投資に参加することは、もはや天井のシグナルではなく、構造的なマネーの流入経路の拡大を意味する可能性がある。

新NISAやiDeCo、米国の401kなど、制度として給与の一部が自動的に株式市場へ流れ込む仕組みが出来上がっており、これは一時的な熱狂とは質の異なる買い圧力となっている。

靴磨きの少年はもういない

そもそも、現代において投資は特別な行為ではなく、生存戦略の一部となりつつある。インフレによって現金の価値が目減りする中、生活防衛のために投資を始めるのは合理的な行動である。また学校教育でも金融投資の授業が始まっている。

彼らを素人の高値掴みと嘲笑する人々は、時代認識がアップデートされていない恐れがある。自分は大衆ではないという特別意識も見え隠れする。

投資の大衆化はバブルの兆候ではなく、資本主義の新たなスタンダードに移行した証左であるとも考えられるからだ。

2. 暴落を待ち続ける人々の心理的バイアス

なぜ、彼らは頑なに暴落論を唱え続けるのか。そこには、相場分析とは無関係な心理的な防衛機能が働いている場合がある。

買えなかった自分を正当化する酸っぱい葡萄

行動経済学的に見れば、上昇相場に乗れなかった投資家は強い認知的不協和を抱える。あそこで買っておけばよかったという後悔を打ち消すために、 今の価格はバブルであり、異常であると信じ込もうとする心理が働く。

暴落を予言し、それが当たれば買わなかった自分は賢明だったことになる。つまり、いつまでも靴磨きの少年がと言い続けるのは、市場を分析しているのではなく、機会損失をしたポジショントークである可能性がある。

アンカリング効果による誤謬

過去の価格やPER(株価収益率)の平均値に固執しすぎるあまり、現在の価格が異常に高く見えているケースも多い。これをアンカリング効果と呼ぶ。

しかし、AIなどの技術革新や、マネーサプライ(通貨供給量)の増大によって、適正とされるバリュエーションの水準自体が切り上がっている可能性がある。

過去の常識という錨に縛られたままでは、新しい価格帯を受け入れることができず、永遠に指をくわえて相場を眺めることになる。

買わないのはまだマシだが

買わないのはまだマシだが、執拗に空売りしようとする人もいる。過去に空売りでうまくいった成功体験があるのかもしれないが、今の相場で空売りをしても報われないケースが非常に多い。

実際にSNSでも空売りやインバースの大量購入で大変な損失になっている投資家も結構見かける。

怖いのは空売りで大儲けすることだ。

そうすると次も次もと空売りで大儲けを目指すようになる。成功体験は脳に焼き付けられるので、誤った成功体験は非常に怖い。

3. 止まらない価格上昇の構造的背景

精神論ではなく、ファンダメンタルズの視点からも、株価や資産価格が上昇し続ける理由が存在する。

通貨価値の希薄化とインフレ

株価が上がっているのではなく、通貨の価値が下がっているという視点は重要である。世界的な金融緩和と財政出動により、市場に流通する通貨量は膨張し続けている。

日本のマネーサプライはM1は約1,090兆円、M2は約1,279兆円、M3は約1,627兆円に達している。アメリカのマネーサプライは2025年11月時点でM2が約22.3兆ドル。いずれも過去最高水準。

相対的に、株式や不動産、ゴールドといった実物資産(またはそれに準ずるもの) の価格は上昇圧力を受け続ける。名目価格の上昇をバブルと断じる前に、通貨そのものの減価率を考慮する必要がある。

実際、過去に比べて大幅に通貨が増刷されている事実を見れば、資産価格の上昇はインフレヘッジの結果に過ぎないとも言える。

テクノロジーによる生産性の向上

AIやロボティクスなどの技術革新は、企業の利益率を飛躍的に高める可能性がある。もし生産性が向上し、将来生み出すキャッシュフローが増大するのであれば、現在の株価上昇はバブルではなく、将来の成長を織り込んだ正当な評価であると考えられる。

4. 30代・40代投資家が直面するリスクと対策

もちろん、相場に調整は付き物であり、一本調子で上がり続けるわけではない。しかし、暴落待ちで現金のまま放置するリスクについても直視すべきだ。

最大のリスクは機会損失

もし、あなたが暴落を待っている間に、市場がさらに大幅に上昇してしまったらどうだろうか。その後、20%の暴落が来たとしても、現在の価格より高い水準で下げ止まるかもしれない。

長期的には市場は右肩上がりを続けてきた歴史がある。30代・40代という資産形成の中核期において、稲妻が輝く瞬間(相場が最も上昇する日)に市場に居合わせないことは、資産を増やす機会を永久に失うことに等しい。

リスク管理とポジションサイズ

重要なのは、暴落を恐れて市場から退場することではなく、暴落が来ても耐えられるポジションサイズで市場に留まり続けることだ。

一括投資で高値掴みをするのが怖いのであれば、ドル・コスト平均法による積立投資を淡々と続ければよい。靴磨きの少年がいるかどうかを気にするのではなく、自分のリスク許容度と資産配分(ポートフォリオ)だけを気にするべきである。

5. 投資におけるデメリットとリスクの明記

上昇相場に乗り遅れないことは重要だが、盲目的な楽観論にもリスクはある。

循環的な景気後退とドローダウン

構造的な上昇トレンドの中にあっても、景気サイクルによるリセッション(景気後退)は避けられない。失業率の上昇や企業業績の悪化により、株価が一時的に数十%程度下落する局面は必ず訪れる。

レバレッジをかけた過度なリスクテイクは、こうした一時的な調整局面で資産をすべて失う(退場する)原因となる。

バリュエーションの修正

特定のセクターや銘柄に人気が集中し、PERなどの指標が歴史的な水準からあまりに乖離した場合は、修正が入る可能性がある。

市場全体は適正でも、局所的なバブルが崩壊するリスクは常に存在する。またAI投資が減速する可能性も取り沙汰されている。

まとめ

いつまでも靴磨きの少年を探し、暴落を期待して現金を抱え続けると、インフレ時代においてゆでガエルになりかねない。

市場は常に変化しており、過去の格言がそのまま通用するほど単純ではない。30代・40代の投資家に必要なのは、他人の雑音に惑わされず、長期的な視点で世界経済の成長と通貨価値の変動を見据え、市場に居座り続ける胆力である。


※本記事は情報の提供を目的としており、投資の勧誘や売買の推奨を目的としたものではありません。投資判断はご自身でお願いいたします。

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