中東の火種が、ふたたび世界の金融市場を揺さぶっている。イラン情勢の急激な緊迫化は、原油価格の乱高下を招き、投資家のリスク許容度を激しく試している。
このような有事の際、投資家は血気に逸って動くべきか、それとも静観を貫くべきか。過去の経験から記事を書いていきたいと思う。
1. 予見不可能な地政学リスクの正体
地政学リスクが他の経済指標と決定的に異なる点は、その非連続性にある。一発のミサイル、あるいはホルムズ海峡の封鎖という物理的事象は、アルゴリズムやファンダメンタルズ分析を無効化する。
相場は織り込み済みではない
地政学リスクにおいて、完全に織り込まれたシナリオなど存在しない。情勢が1段階悪化するごとに、市場はパニック的な反応を繰り返す。
現在、原油先物市場や安全資産である金(ゴールド)に見られる買いの動きは、最悪の事態を想定した保険の積み増しだ。
2. 投資家が陥る動かなければならないという強迫観念
情勢が激変する中、何もしないことは放置や怠慢に見えるかもしれない。しかし、パニック相場の中で下す決断の多くは、生存本能に支配された誤ったものである。
損益表示に脳を支配させるな
連日の報道や証券口座の赤い数字(マイナス表示)を凝視すれば、脳は冷静な判断力を失う。
恐怖に駆られてすべてのポジションを投げ出すことも、逆に一発逆転を狙ってエネルギー関連株にレバレッジをかけることも、どちらも投資ではなく博打に他ならない。
- 情報の過剰摂取を絶つ: 刻一刻と変わる戦況報道は、長期的な資産形成において大半がノイズである。SNSの過剰な閲覧も毒である。
- コントロール欲求を捨てる: 投資家にできることは、不確実性を受け入れることであり、事態を予測して先回りすることではない。
3. 動くべき唯一の基準:リスク許容度の再確認
もし、この情勢下で動く必要があるとすれば、それは予測に基づいた投機のためではなく、自身の生存率を高めるためのリバランスにおいてのみである。
生活防衛資金
十分な生活防衛資金が確保されているならば、戦後を見据えて慌てて動く必要はない。
暗号資産
体制転換がスムーズに行くなら、暗号通貨が回復する可能性もある。現状まだ掘るかもしれないので、慌てて買わずに様子を見る。
まとめ:静寂の中で嵐をやり過ごす
イラン情勢の予測は難しい。何かが起きるか収まるたびに指数は上下する。
投資家が今すべきことは、投機的な銘柄や投機的な資産を保有していないなら証券口座やSNSから距離を置くことだ。
余計な手出しをせず、市場の狂騒に飲み込まれず、静かに時を待つ方が、良い結果をもたらすこともある。
※リスクに関する表記
地政学リスクに伴う投資判断には、極めて高い価格変動リスクおよび流動性リスクが伴う。紛争の進展や制裁措置により、特定の資産が売買不能になる、あるいは価値が激減する可能性がある。本記事は情報提供を目的としており、特定の投資行動を保証するものではない。投資の最終決定は、必ず自身の判断と責任において行うこと。

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