はじめに 給与明細の裏側に隠された第二の報酬
上場企業に勤務する30代・40代の投資家諸君は、毎月の給与やボーナスの額面ばかりに気を取られていないだろうか。実は、多くの大企業には、給与以外にも資産形成を強力に後押しする制度が用意されている。それが企業型確定拠出年金(企業型DC/401k)や従業員持株会だ。
これらは単なる福利厚生ではなく、市場で戦う個人投資家には手の届かない、制度的な優位性が組み込まれた金融商品と言える。会社が用意したこのプラチナチケットを行使しないことは、みすみす利益を捨てているのに等しい。本記事では、社内制度を活用していかに有利に資産を築くか、その戦略と注意点を解説する。
1. 企業型DC(401k)は最強の節税装置
多くの企業で導入が進む企業型DCだが、会社が勝手に積み立ててくれる退職金代わり程度にしか認識していないならあまりに勿体ない。
またこういった401Kで元本確保型商品を選択するのは少々もったいない気がしている。リスクに対する考え方は人それぞれだが、株式型で攻めた方がいいのではないかと思っている。
管理者は全世界海外株式:日本株式TOPIXを65:35の割合で積み立てていて、全従業員の平均リターンの3倍ぐらいになっている。これは元本確保型を選んでいる人が多いことを示している。
マッチング拠出で所得控除を最大化する
もし勤務先の制度にマッチング拠出(会社が出す掛金に、従業員が自分でお金を上乗せできる制度)があるならば、限度額まで利用することを検討すべきだ。なぜなら、ここで拠出した掛金は全額が所得控除の対象となるからだ。
信託報酬という隠れコストの確認
ただし、会社が選定した運用商品ラインナップには注意が必要だ。中には信託報酬が高いアクティブファンドや、元本確保型という名のインフレ負け確定商品が混ざっていることがある。
長期投資においてコストは敵だ。全世界株式やS&P500に連動する、信託報酬が0.1~0.2%程度の低コストインデックスファンドが選択肢にあるかを確認し、賢明な配分を行う必要がある。
会社ではどの金融商品を選んだらいいか懇切丁寧に教えてくれるわけではない。(少なくとも私の会社ではそうだった)信託報酬が高いインチキまがいの金融商品もあったので、金融リテラシーが必要になってくる。知らない従業員はカモになる。
2. 従業員持株会の奨励金という確実なリターン
自社の株を給与天引きで購入する従業員持株会。この制度の最大の魅力は、会社から支給される奨励金にある。
市場価格より安く買える仕組み
多くの企業では、持株会への拠出額に対してある程度の奨励金を上乗せしてくれる。これは言い換えれば、市場価格から5%〜15%程度ディスカウントされた価格で自社株を買える権利だ。
株式市場において、最初から含み益が乗った状態でスタートできる商品は他には存在しない。株価が横ばいでも奨励金分の利益が出るため、勝率は統計的に高くなることが期待できる。
強制的なドル・コスト平均法
また、給与天引きで毎月定額を買い付けるため、株価が高い時は少なく、安い時は多く買うドル・コスト平均法が自動的に実践される。相場の変動に一喜一憂せず、淡々と枚数を増やせる点は、忙しい本業を持つビジネスパーソンにとって理にかなった手法だ。
増配すれば年々配当も貯まっていく。
福利厚生でもらえるポイント
福利厚生でポイントがもらえている。福利厚生でもらったポイントをdポイントに換金すると、日興froggyで株を買うことができる。そのためポイントが入ったらすかさずdポイントに換金し、日興froggyに入金して日経ブル2倍ETFをひたすら買っている。年間で5万ポイントぐらいは貰えている。
3. 決して無視できない共倒れのリスク
ここまでメリットを強調したが、自社株投資には致命的な構造的リスクが潜んでいることを忘れてはならない。それは人的資本と金融資本の集中リスクである。
給与と資産が同時に吹き飛ぶ悪夢
あなたの給与(人的資本からのリターン)は、当然ながら勤務先の業績に依存している。そこでさらに持株会や401kで自社株を大量に保有することは、卵を一つのカゴに盛る行為の極みだ。
万が一、会社が不祥事や業績不振で傾いた場合、給与やボーナスのカットと同時に、保有資産の暴落というダブルパンチを食らうことになる。エンロン事件の際、多くの従業員が職と年金資産を同時に失った悲劇は教訓とすべきだ。
出口戦略とポートフォリオのバランス
したがって、持株会はあくまで奨励金をもらうための装置と割り切り、ある程度の金額が貯まったら定期的に引き出して売却し、全世界株式などの分散された資産に乗り換えるのが賢明な戦略となる。ただ定年まで忘れたように積み立て続けて富裕層になっているケースもある。
まとめ
上場企業の社員であるということは、それだけである種の投資権益を持っていると言える。
401kの税制優遇と持株会の奨励金は、確実に拾える落ちている金だ。しかし、それに目がくらんでリスク管理を怠れば、会社と運命を共にする心中型ポートフォリオになってしまう。
会社の制度を冷徹に利用し、利益を確実なものにしながら、資産全体では特定の企業に依存しない分散体制を築く。これこそが、組織に属する投資家が目指すべきスマートな生存戦略である。
※本記事は情報の提供を目的としており、投資の勧誘や売買の推奨を目的としたものではありません。投資判断はご自身でお願いいたします。


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